私が海外に出るようになって44年になります。この間、飛行機に乗る時に預けた荷物が目的地に届かなかったことは一度もありません。いわゆるロストバゲージ(lost baggage)もディレイドバゲージ(delayed baggage)もない、ということですね。これは私の仕事仲間などと比べても、異例の少なさです。何しろ、パリ経由のアフリカとか、ブラジル乗り継ぎの中南米とかに行ってましたから。
一方私の長男は、成田からフィンエアーでヘルシンキ乗り継ぎ、ベルゲンへ向かった時に経験しました。この時は、成田発の便が遅れ、ベルゲン行きの飛行機への積み替えが間に合わなかったようです。荷物はトレースができて時間はかかりましたが戻ってきました。つまりロストバゲージではなく、ディレイドバゲージだったわけです。それでも2週間もかかりましたから、服や日用品を調達しなくてはならなかったようです。
ロストバゲージとは?ディレイドバゲージの違い
現在世界中のほとんどの航空会社では、預け荷物についているタグのコードによって荷物の位置をトレースできます。到着した空港で自分の荷物が出て来なくても、荷物の位置がわかり、実際にそこに荷物があることがわかれば、いずれ荷物は返ってくるはずです。遅れて到着するからディレイドバゲージですね。航空会社や場所によっては物凄い手間や時間がかかる場合はありますが。
一方、荷物の位置が確認できない、あるいは位置が確認できても荷物が見つからない、と言うような場合はロストバゲージになります。文字通りなくなっちゃったのがロストバゲージですね。
要はあとから出てくる荷物がディレイドバゲージで、永久に見つからない荷物がロストバゲージということです。
これは旅行会社や保険会社の補償に影響しますので、自分の荷物がロストバゲージなのか、ディレイドバゲージなのかきちんと把握して対処しましょう。
航空会社の補償
ロストバゲージの場合、通常は航空会社が補償・弁済することになります。ただし、その内容は航空会社によって異なります。また、異なる航空会社を乗り継いだ場合など、どちらの会社が補償するかの決定で時間がかかることもあります。JALとかANAなど日系の航空会社が絡んでいる場合には、日系の航空会社が補償してくれるケースが多いようです。外国の航空会社同士だと?時間がかかるでしょうね。
例として、ANAの補償のルールはこちらを参照してください。
ディレイドバゲージの場合、原則として補償はないと考えておくほうが良いです。ただし、航空会社やクラスによっては、日用品の購入に必要な金額や、荷物を待つために必要なホテルの代金などを支払ってくれるケースもあるそうです。
旅行保険による補償
通常旅行保険には、ロストバゲージやディレイドバゲージが発生した場合の補償が含まれていることが多いです。これを航空機寄託手荷物遅延特約といいます。自分で補償内容を選んで組み立てるタイプの旅行保険の場合、航空機寄託手荷物遅延特約を選択しないと当然荷物が届かなかった時の補償は受けられません。
クレジットカードに付帯する旅行保険の場合、旅行者が特約を選択することはできません。あらかじめ自分のクレジットカードに付帯する旅行保険の内容を把握しておく必要があります。例えば海外旅行を頻繁にする人に人気のある楽天プレミアムカードの場合、航空機寄託手荷物遅延特約はありません。携行品損害という補償がありますから、紛失したものの分だけの補償になると思われます。楽天プレミアムの保険については詳しくはこちらを。楽天ブラックカードをお持ちの方はこちらを。
荷物が出て来なかったら?
しばらく待っても自分の荷物が出て来なかったら、各空港にあるLost Baggage と書かれたカウンターで申告します。まともな空港であれば、荷物のありかを探してくれるはずです。荷物が到着しているにもかかわらず見当たらないのであれば、誰かが間違えて持って行った可能性も否定できません。
荷物が空港についていない、つまりロストバゲージかディレイドバゲージになっていることがわかったら、PIR:Property Irregularity Report (手荷物事故報告書や紛失証明書)という書類の発行を依頼しましょう。これは後日、航空会社や保険会社とのやり取りに必要になります。
あとはその時の状況に応じて空港及び航空会社の担当者とやり取りしてどうするか決める以外にありません。
ロストバゲージやディレイドバゲージを防ぐためには
ロストバゲージやディレイドバゲージの原因には3つあります。誰かのミス、盗難などの故意、そして飛行機の遅延で乗り継ぎ便に載せられなかったなどの不可抗力です。最後の不可抗力はこちらで対処しても防ぐことは出来ません。
対処法
ミスを防ぐためにはいくつかやっておくべきことがあります。
- 荷物の古いタグは全部はがす
複数のタグが貼られていると、間違って古いものが読み込まれる可能性が否定できません。
- 荷物を預ける時の確認
荷物のタグに書かれた行く先に間違いがないか確認します。特に乗り継ぎを行う場合には重要です。空港や、航空会社の組み合わせによっては一度荷物を乗り継ぎ空港で受け取る必要があります。でも、なじみのない空港だと、カウンターの係員が知らないことがあります。
- 目立つケースを使う、目印を付ける
スーツケースは同じメーカーのものも多く、また同じような色形のものが多数あります。ターンテーブルを流れてくる荷物が自分のものか迷った経験は多くの方がお持ちだと思います。他人に間違って持って行かれないためには?目立つ色のケースを使うとか、目立つ色の帯を付けるのが効果的です。
荷物の盗難防止
では盗難を防ぐためにはどうすればよいでしょうか。「頑丈なハードタイプのスーツケースの方がソフトケースよりも被害にあいにくい。」と聞くこともありますが、私や知人の経験では関係がありません。確信犯はどんな鍵も破壊しますので。
ではどうしたら守れるのか?他のケースよりも自分のケースの方を盗みにくくすることが肝心です。犯人は飛行機一機分の荷物を盗むのではなく、荷物の中からピックアップして盗みます。人の目があるかもしれず、時間も限られています。
- 目立つ色のケースを使う
盗む人はもちろん目立ちたくありません。ですから特徴的な色のケースの方が盗まれにくいようです。
- ベルトを付ける
ベルトが付いていると、目立ちます。また、開けるにも手間がかかります。ですから、短時間で中のものを取り出したい犯人は、開けやすいものを選ぶでしょう。
ロストバゲージやディレイドバゲージを前提に
荷物は届かない時には届かないものです。旅慣れた友人知人であっても、何度も経験している人もいます。私はどんな旅行かにもよりますが、以下のように気を付けています。
- 必要なものは機内持ち込み手荷物に
薬や書類(仕事の場合)などはすべて機内に持ち込みます。下着など着替え1セットも必ず機内持ち込みです。
- 荷物を預けない
一週間程度までの海外旅行の場合、スーツケースなどを預けません。最近は7キロまで手荷物として持ち込めます。航空会社によっては10キロのところもあるようです。この制限を超えない量の荷物しか持って行きません。下着は毎日あるいは1日おきにホテルで洗濯します。